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オフィスKFP

【空室率】3つの空室率と不動産投資での正しい計算方法

更新日:2023年4月4日



収益物件の購入をする際に、

収支を計算すると思いますが、

その際に空室率を算出すると思います。


この空室率についての理解が少ないと、

空室が多くても表面の計算上は

安全に見える賃貸需要が見込めない

地方高利回りアパートであったり、

実利が思ったより低くなる傾向が強い

低額賃料物件に手を出してしまう事が

よくあります。


収益性向上を求め地方高利回り物件を

自身で修繕や入居付けを行う事自体は、

ナシではないと思いますが、


不動産投資ができるご属性の方なら、

その時間を本業や本業の自己研鑽に

努めた方がお金を増やせると

考えております。


話が少し逸れましたが、

空室についての考え方として

下記3つがございまして、

こちらを理解する事によって、

より空室率の理解が深まります。






目次



1.時点空室率について


全戸数に対する空室数の割合です。

一般的に空室率として

使われている指標となります。


空室戸数÷総戸数で計算が可能で、

8部屋のアパートで1部屋空室なら、

空室1戸÷総戸数8戸=空室率12.5%

という計算になります。


一定の賃貸需要が見込める場所なら、

1年間を通して空室という事は

賃料設定等の条件が間違ってない限り

ほぼあり得ない話なのですが、


この時点空室率をベースに

空室率を算定して計算をしている方が

非常に多いと感じております。


この時点空室率の問題点として、

不動産賃貸運営の実務との関連性が

薄いばかりか、悪影響を及ぼす事が

挙げられます。


安全性を担保するために

必要以上に空室率を厳しく見ると、

単純に高い利回りを求めるようになり、

それが結果として許容範囲以上の

空室リスクを背負う事に繋がり、

結果として危険性が高くなるからです。


また、物件単体で空室の損益分岐を

下回らないような目線で物件を探すと、

低額賃料帯で戸数の多い物件に

辿り着く事も多くなります。


そのような物件の多くは、

入退去の頻度が高い傾向があり、

賃料に対しての修繕費や広告費等

運営比率が高くなる傾向があるため、

結果として実質利回りが想定以上に

下がってくる傾向がございます。


ちなみに公益財団法人

日本賃貸住宅管理協会が公表している

賃貸住宅市場景況感調査によると


2020年10月~2021年3月の

入居率データでは下記の通りであり、

首都圏の稼働空室率は5%を

下回る水準となっております。


~入居率~

首都圏:97.4%

関西圏:98.1%

その他:92.1%

全国 :97.0%


また、入居率95%以上を売りにした

管理会社は首都圏では数多くあり、

一定の母数で時点空室率を算出すると、

5%前後になる傾向があります。


収益物件を購入する場合、

満室賃貸中とは限らないですが、

時点空室率は重要な指標では無い為、

必要以上に拘る必要は無いと

考えております。



2.稼働空室率について


1年間の稼働日数に対しての

空室日数の割合を意味します。


空室日数÷(稼働日数+空室日数)で

計算が可能で、入居4年(48カ月)

空室2カ月の場合50カ月のうち

2カ月空室という事になり、

空室2カ月÷(稼働48カ月+空室2カ月)

=空室率4%という計算になります。


この指標を利用するにあたって、

入居期間と空室期間を

算出する必要があります。


収益物件を購入する場合、

過去の入居履歴がわかる

トラックレコードが手に入る事は

滅多にないため、ある程度推測のもと

稼働空室率を算出する必要があるため、

基本線がわかるデータがあると

判断がしやすいと考えております。


人の生活と密接しているため、

絶対にこの期間入居するという事は

あり得ませんが、指標としての

平均値や中央値は理解しておく事は

重要だと考えております。


日本賃貸住宅管理協会では

入居者の属性別での入居期間を

データとしてまとめており、

そちらのデータを基に入居期間を

数値化すると下記のようになります。





また、トヨタ等が出資している

不動産分析会社の株式会社TAS公表の

賃貸住宅市場レポートだと

東京圏の空室期間は下記の通りです。






上記データから23区の単身向け物件の

空室率を数字上で算出すると


入居期間が4.26年(約1555日)、

空室期間が3.4カ月(約104日)、



 空室期間(104日)

÷(空室104日+入居期間1555日)

≒ 6.27%


という稼働空室率を

算出する事ができます。


この稼働空室率という指標も

不動産賃貸業においては、

問題点がいくつかございます。


一定の賃貸需要がある場所であれば

賃料を相場より著しく低く設定すれば

不動産業者がサブリースで借りるため、

空室率は0となってきますし、


相場より賃料を著しく高く募集すれば、

たとえ賃貸需要旺盛のエリアでも、

ほぼ入居が決まらなくなります。


このように、稼働空室率は賃料設定を

いくらにするかによって変動する為、

不動産賃貸運営の実務で活かすには、

賃料設定の妥当性を確認してから、

利用するのが正しい使い方になります。


また、物件が単一の間取りでなく、

シングルタイプとファミリータイプが

混在した複合間取りの場合、

詳細に計算していく必要があります。



3.賃料空室率について


想定した1年間の満室賃料に対して

どれくらいの空室損があるかの

割合を意味します。


空室分賃料÷満室賃料で算出可能で、

エクセル等で計算する場合は、

満室賃料を算出した上で、


 (空室日数+入居経費)

÷(稼働日数+空室日数)で

  計算可能です。


適正賃料入居、入居期間4年(48カ月)

空室2カ月・広告費1カ月・FR1カ月だと、

50カ月のうち46カ月分の賃料が入り、

4カ月分の空室が発生する事になり、

 (空室2カ月+入居経費2カ月)

÷(稼働48カ月+空室2カ月)

=空室率8%という計算になります。


賃料ベースでの空室率算出は、

不動産賃貸業の実務で

一番利用しやすい空室率の指標です。


競争力のある物件はFRや広告費は

最小限で済む傾向が強く、

競争力のない物件は逆の傾向です。


また、低額賃料帯の物件の場合、

単価の問題で広告費を多くしないと

紹介してもらえない事が多いです。


また、FRや広告費を多くし過ぎると、

入居者が部屋を選ぶというより、

不動産営業マンの営業力ベースで

入居が決まってくるため、

入居期間が短くなる傾向があります。


そのため、収益物件購入においては、

物件のスペックを間取り・エリア、

原状回復工事のグレード、

ターゲットの入居者層・賃料帯等、

様々な要素で適正賃料・賃料空室率を

個別具体的に算出する必要があり、


収益不動産を専門に取り扱う

不動産業者による分析が必要であり、

腕の見せ所だと考えております。



4.まとめ


3つの空室率について説明しましたが、

賃料空室率をベースに算出するのが、

不動産賃貸業ではベストです。


しかし収益物件を購入する場合、

過去の入居履歴がわかる

トラックレコードが手に入る事は

滅多にございません。


しかし、基本線を理解し正しい数値を

活用して適正な運営ができていれば、

空室率のブレはかなり少なくなります。


収益物件専門の不動産会社の弊社では、

新規購入物件はもちろん、

既存保有物件の空室率分析にも

力を入れており、今後の不動産賃貸業に

なにかしらの収益性向上提案が

可能となっております。


ご興味ある方は弊社事業の

資産コンサルティング事業で

ご相談が可能で下記URLから

申込をする事ができます。



本日も最後までお読み頂き

ありがとうございました。


FP1級

宅地建物取引士

賃貸不動産経営管理士

香取俊一

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