不動産投資における建物寿命
- オフィスKFP
- 2025年8月20日
- 読了時間: 7分

不動産投資をする上で
建物寿命は非常に重要なテーマです。
築年数が古い=建物寿命が短い
といった考え方は、
賃貸管理の現場で働く身としては、
かなり短絡的な考え方に思えます。
また、収益不動産の提案をする中で、
築年数を理由にお断りをされる人が
一定数いらっしゃいます。
取れるリスクの許容度は
個々人によって異なってくるので、
理解できる部分はございますが、
弊社が取引している物件の多くが
築古物件となっておりまして、
賃貸管理も特段大きな問題もなく
運営ができている状態なので、
本記事を参考に
改めて建物寿命や築年数に対する
理解を深めて頂けますと幸いです。
~目次~
・4つの耐用年数
不動産投資における
建物寿命を考える上で
4つの耐用年数を理解する事が
重要となってきます。
①法定耐用年数(≒償却年数)
国税庁が定めた減価償却期間を
計算するための基準となる年数です。
税務上の建物や設備の償却年数を
統一するために用いられます。
建物の実際の寿命とは別物となります。
~参考~
木造 :22年
軽量鉄骨造:19年or27年
鉄骨造 :34年
RC造 :47年
②物理的耐用年数
建物が物理的に使用可能な期間です。
築年数と一定の相関関係がありますが、
構造・材料・維持管理状態によって
大きく変わってきます。
また、修繕による年数の延命が
可能となってきます。
③経済的耐用年数
建物が収益物件として
採算が合う期間です。
物理的に使えるかどうかより
収益として成り立つかで決まります。
賃貸需要・家賃相場・修繕維持コスト
金融機関の評価・減価償却等の
兼ね合いから決まってきます。
④期待耐用年数
投資家や金融機関等の評価者が
考える利用可能な年数です。
取引市場や金融機関の融資判断で
よく使われる概念となります。
~参考~
金融機関A期待耐用年数:40年-築年
金融機関B期待耐用年数:50年-築年
築20年の木造物件の場合
金融機関A:融資期間最長20年
金融機関B:融資期間最長30年
以上が4つの耐用年数の簡易説明です。
法定耐用年数以外は
一定の主観が入ってきまして
判断の割れる部分でございますが、
不動産投資における
建物寿命を考える上では、
これらの主観が入ってくる耐用年数を
深く理解する必要がございます。
・物理的耐用年数についての見解

「メンテナンス次第で如何様にもなる」
というのが私の見解となります。
法定耐用年数や木造30年神話につられ、
耐用年数や一定の年数が経過したら、
建物の利用ができなくなるような
イメージがあるのは理解できますが、
弊社管理物件の8割弱が
耐用年数が切れた物件となっており、
一定の修繕はあれど、
特段致命的な問題もなく
管理運営ができている状態です。
外壁屋根鉄部の外装の工事や
エアコン・給湯器等の設備の交換、
床や壁紙の定期的な張替等の
一定のメンテナンスをすれば、
物理的耐用年数は定期的な延命が
可能であると考えております。


また、建物寿命について、
早稲田大学の小松幸夫名誉教授の
有名な研究結果があります。
下記資料は小松幸夫名誉教授の
論文のデータから引用した内容です。


上記の平均寿命は、
人間の平均寿命と同様の方法で
建物寿命を計測した結果です。
固定資産台帳の滅失データを基に、
その年に建てられた建物の
残存率が50%となる期間を
平均寿命としております。
調査のたびに大幅に平均寿命が
延びている事が分かります。
また、木造共同住宅について、
2011年調査の段階で1961年築の建物が
50%残っているという結果です。
調査のたびに平均寿命が延びており、
旧耐震物件でこれだけ持つのですから、
新耐震基準の物件であれば、
より寿命が長くなると考えております。
小松幸夫名誉教授も論文の中で、
・建物は“更新可能な部品の集合体”
・使い方次第で何年でももつ
・法隆寺を引き合いに出すまでもなく、
わが国には何百年という時間を経た
木造建築はいくらでもある
・建物は人の意思で解体される事で
その生涯を終えるのであり、
自然死という事はあり得ない
といった事も述べられており、
物理的耐用年数の可能性について
言及をされております。
ここまでデータを用いながら
物理的耐用年数についての見解を
述べさせて頂きましたが、
弊社が物件を紹介する場合、
築が古くても何でもいいわけではなく、
新耐震基準以降の物件を
基本線としてご紹介しております。
旧耐震基準が震度5程度の地震で
倒壊しないレベルが建築されており、
新耐震基準は震度6強~7程度の
大規模地震で倒壊しないレベルで
建築されており、
大幅な違いがあります。
1995年に発生した阪神淡路大震災では、
被災した木造家屋の98%は
旧耐震基準となっておりました。
2016年に発生した熊本地震でも
旧耐震物件の損害割合が圧倒的です。

※国土交通省資料より抜粋
新耐震基準の物件も一定の被害が
見受けられるデータがございますが、
震度7が続けて2回起こるという
震度が導入された1949年以降、
史上初となる歴史的大地震である事を
考慮する必要がございます。
・経済的耐用年数についての見解
長期譲渡(約6年)のタイミングから
超長期(目安:最長35年)が、
経済的耐用年数の目安になる
というのが私の見解です。
また、建物スペック以上に、
エリアや減価償却期間、
投資スタンスによって
変化が生じると考えております。
「新築の方が入居が決まりやすい」
「築が古いから入居が決まらない」
といった意見もございますが、
入居者ターゲットが違ってきますし、
様々なアンケート結果から、
家賃が圧倒的に一番重要な項目で、
築年数の優先度は非常に低くなる
といったデータが多数ございます。
注意点としては
減価償却や投資スタンスがあります。
建物がまだまだ使える場合でも、
減価償却期間が切れた場合は、
税引後CFが著しく低くなります。
CFを最重要とする場合は、
長期譲渡のタイミングでの売却が
効率の良い投資となってきまして、
物件単体で利益の最大化を目指すなら、
元本返済を重視して超長期で
保有をしたほうが利益額が増えます。
また、売却出口を考える際に、
次の購入者が使える融資を
考えておく必要もございます。
・不動産投資における建物寿命
期待耐用年数≒不動産投資における
建物寿命と考えるべきです。
期待耐用年数を算出するにあたって、
物理的耐用年数及び経済的耐用年数を
中心に考える必要がございます。
法定耐用年数の優先度は低いですが、
経済的耐用年数を考えるにあたって、
減価償却は外せませんので、
法定耐用年数も一定の考慮が必要です。
・物理的耐用年数
一定のメンテナンスをする前提なら
実質超長期の寿命が見込めます。
メンテナンスをしない前提の場合、
大規模修繕実施時から最長15-20年程度
・経済的耐用年数
純資産増加額や売却益重視なら
超長期で考えるべきです。
投資効率や減価償却重視の投資なら
長期譲渡のタイミングとなります。
上述の内容を考慮して
各々が考える期待耐用年数を判断すると、
不動産投資における
建物寿命が見えてきます。

ここまでお読み頂いた
不動産投資に熱心な方、
本当にありがとうございます。
長文のわりにはっきりとした
回答を伝える事ができずに
申し訳ございません。
建物の物理的寿命だけ見ると、
超長期での運用はできると考えて
物件のご紹介をしておりますが、
その人のご属性や投資スタンスでも
期待耐用年数(≒寿命)は
変わってくるものとなります。
不動産は個別具体的な精査が必要で、
各物件ごとに信頼できる
コンサルタントと相談をして、
建物寿命について
判断をして頂けると幸いです。
購入及び売却に関する
物件のご相談は下記URLから
随時承っております。
最後までお読み頂き
ありがとうございました。
宅地建物取引士
賃貸不動産経営管理士
賃貸住宅メンテナンス主任者
FP1級
オフィスKFP 香取




