資産形成における不動産投資では、
物件の収益性が一番重要になる方が
多いと思います。
その為、収益物件を購入される際に
表面利回りを見て収益性を
判断する事が多いと思います。
しかし、資産形成期の不動産投資では、
保有金融資産以上の借入をして、
5年以上の長期投資になる事が多く、
表面利回りや簡易的なCFだけで、
収益性を判断するのは大変危険です。
本日は物件の収益性判断における
重要な実質利回りについて
お話をさせて頂きます。
実質利回りについて
実質利回りは
年間純収入÷総取得費で算出可能です。
年間純収入:満室賃料から空室損と
運営費を差引いた収入
総取得費 :購入価格と諸経費の合計
実質利回りは
物件の収益性ポテンシャルを
測るのに適した指標になります。
「6%目安」と言われておりましたが、
一般層向けの居住用賃貸物件は
ライフスタイルを一変させたコロナの
影響をほぼ受けず安定推移した為、
その手堅さから利回りが低下傾向です。
~実質利回り算出方法~
計算方法と簡易例を用いて
ご説明させて頂きますが、
物件の販売図面に記載していない
購入諸経費と引き直し満室賃料、
空室損・運営費を算出する
必要がございます。
購入諸経費について
物件価格の7%~8%程度に
収まる傾向がございます。
引き直し満室賃料について
収益性を判断するためには
今入居付けしたらいくらの家賃で
入居するのかを賃料を引き直して
計算する必要があります。
空室損について
下記記事をご参照頂けると
詳細がわかりますが、
賃料空室率で算出する
必要がございます。
運営費について
東京圏アパートであれば15%前後
東京圏RCであれば20%前後の割合で
掛かってくることがございます。
具体的項目としては
固定資産税・都市計画税
賃貸管理費
定期清掃費
共用部水道光熱費
消防点検費(延床面積150㎡以上)
といったもののほかに
(インターネット費用)
(町内会費)
(浄化槽維持費)
※大型物件の場合
エレベーター点検費
機械式駐車場維持費
防犯カメラ維持費
貯水槽維持費
※区分マンションの場合
建物管理費・修繕積立金
といった項目が挙げられます。
RC物件の方が利回りは低いのに
運営費用が高くなる傾向です。
上述の算出方法を踏まえて
計算をしていきたいと思います。
~計算例~
単純な実質利回り算出ですと、
ただの四則演算となり面白くない為、
地方アパートと23区アパートの
実質利回り比較で説明していきます。
両方1Rが6部屋のアパートで
建物面積や間取りが同じという
設定で数字比較をしていきます。
※物件ポテンシャル比較が目的の為、
税引前CFで算出しております。
空室損計算
立地によって入居期間に差が出る
データというものはあまりない為、
入居期間は両方4年で設定してますが、
原状回復工事費用はエリアでの差が
ほとんどない費用であり、
広告費等は金額が低すぎると
客付け会社の優先順位が下がり、
入居付けが出来なくなるため、
最低単価をそれぞれ10万円で
試算しております。
地方アパート(1R家賃2万円)
入居期間 48か月(4年)
空室期間 6か月
原状回復費 5か月(10万円)
広告費FR 5か月(10万円)
54か月中38か月の賃料収入となり、
賃料空室率が約30%となります。
23区アパート(1R家賃5万円)
入居期間 48か月(4年)
空室期間 2か月
原状回復費 2か月(10万円)
広告費FR 2か月(10万円)
50か月中44か月の賃料収入となり、
賃料空室率が約8.8%となります。
運営費計算
固都税は地方アパートの方が
低くなりますが、その他費用は
エリアによる差が出にくいため、
1部屋当たりの賃料が低い
地方APの方が運営費率が高くなります。
また、家賃が安すぎる場合、
管理費の最低単価の関係上
相場の5.5%より高くなる傾向があり、
この計算では1部屋当たり最低単価を
月額1,500円としております。
地方アパート運営費(年間)
固都税 : 3.5万円
賃貸管理費 :10.8万円
定期清掃費 : 7.2万円
共用部光熱費: 1.2万円
火災保険料 : 3.0万円
運営費合計 : 25.7万円
年間満室賃料:144.0万円
運営比率 :17.85%
23区アパート運営費(年間)
固都税 : 9.2万円
賃貸管理費 :19.8万円
定期清掃費 : 7.2万円
共用部光熱費: 1.2万円
火災保険料 : 3.0万円
運営費合計 : 40.4万円
年間満室賃料:360.0万円
運営比率 :11.22%
上述の空室損と運営費を基に
実質利回りを計算していくと、、、
地方アパート実質利回り計算
物件価格 :1,309万円
購入諸経費: 91万円(7%試算)
--------------------------------
総取得費 :1,400万円
満室賃料: 144.0万円(年間)
空室損 :▲ 43.2万円(30%試算)
運営費 :▲ 25.7万円(17.85%試算)
------------------------------------
営業純収益:75.1万円(年間)
営業純収益(75.1万円)
÷総取得費(1,400万円)
--------------------------
実質利回り:5.36%
23区アパート実質利回り計算
物件価格 :5,142万円
購入諸経費: 360万円(7%試算)
--------------------------------
総取得費 :5,502万円
満室賃料: 360.0万円(年間)
空室損 :▲ 31.6万円(8.8%試算)
運営費 :▲ 40.4万円(11.22%試算)
------------------------------------
営業純収益:288.0万円(年間)
営業純収益(288万円)
÷総取得費(5,502万円)
--------------------------
実質利回り:5.23%
という結果になりました。
このように、実質利回りは
物件の収益性ポテンシャルを
測るのに適した指標になります。
しかし、融資とセットとなった場合、
使える融資とのイールドギャップが
キャッシュフローや投資効率を
判断する上で重要になってきます。
イールドギャップについては、
下記記事をご参照下さい。
物件購入を検討される場合
融資や税引後CFも踏まえて
検討する必要がございますが、
物件のポテンシャルを判断する上で、
実質利回りの算出は必須です。
本ブログ内容を参考に
実質利回り算出に役立てて頂けますと
幸いです。
収益物件専門の弊社では
物件のポテンシャル判断に長けており、
セカンドオピニオンとしての
資産コンサルティングサービスも
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最後までお読み頂きありがとうございました。
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